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腰痛と坐骨神経とオステオパシー

今回は腰痛や坐骨神経痛の原因となり得る、オステオパシーが適応とする体性機能障害と、腰椎椎間板膨隆や変性について書いてみます。

腰痛と坐骨神経痛の原因となる腰椎の関節機能障害とヘルニア

腰痛の原因となり得る関節機能障害に対してオステオパシーは有益です、この腰椎の機能障害が悪化したり持続すると今度は腰椎の器質的変化を起こし得ます、この腰椎の器質的変化の中に椎間板ヘルニアもあります。
今回は腰痛と坐骨神経痛に関連した、腰椎の関節機能障害の事とそれに関連した腰椎変性疾患やヘルニアにフォーカスした当院の考えを紹介します。

腰椎の関節機能障害

腰部の背骨(脊椎)は腰痛と言います、脊椎の関節機能障害をオステオパシーは大正時代の整体が生まれる前から、カイロプラクティックが生まれる前から研究していました。
欧米の理学療法士を中心に徒手療法として、脊椎を含めた徒手療法の矯正手技のマニピュレーションやモビリゼーションは、オステオパシーのスラストやアーティキュレートリートメントの影響が非常に大きいとされています。

この腰椎を含めた背骨「脊椎」の関節機能障害の局所は、構造の基本的組織が維持された状態だが「動きの一部が制限され、構造が歪み、緊張や圧痛」が生じている。またこの機能障害は循環と神経も乱れを総合的に起こすと考えられています。

この各ジャンル手技療法が取り扱う脊椎関節の機能障害の原因や機序は以下の説が唱えられるとアメリカのオステオパシー医師のフィリップ・グリーンマンDOは唱え、著書のマニュアル・メディスンで唱えています。

・脊椎の椎間関節の歪み
・関節の間の潤滑液の変化や軟骨様のヒダの引っ掛かり
・関節の間の靭帯などの線維の緊張
・筋や靭帯や関節包の感覚受容器や侵害受容器の過剰な興奮と、脊椎の筋緊張やアンバランス

  上記の異常な状態が組み合わさって脊椎関節機能障害は起こるとされています。


関節機能障害は椎間板の物理的変化を伴うとされます。この関節機能障害は脊椎や椎間板の退行変性(脊椎症・椎間板ヘルニア・脊椎滑り症)を起こして行くいくつかの要因の中で、有力な原因もしくは要因とオステオパスは捉えています。

腰椎の関節機能障害とマッケンジーの椎間板膨隆(内障症候群)

上記の脊椎関節の機能障害は、腰痛を起こす原因になります。そしてこの腰椎の関節機能障害は椎間板に不均衡な持続的な圧が加わり、更に椎間板の循環に影響し椎間板の変性(劣化)に繋がる可能性があります。

椎間板変性に対して、深く研究したニュージーランドの理学療法士にロビン・マッケンジーがいます、彼は椎間板の状態を動作と症状の変化に結びつけ機能不全症候群と椎間板膨隆と椎間板ヘルニアと姿勢症候群に分離し捉えました。彼の研究も素晴らしく世界の多くのカイロプラクターやオステオパスにもその原理や手法や指導や方針が参考にされています。

背中を丸めた姿勢と椎間板の物理的ストレス
例えば背中を丸めた屈曲姿勢の持続は、腰椎の椎間関節の開いた屈曲系の腰椎の機能障害を誘発しやすく、椎間板の前側に圧力をかけ、椎間板の線維輪の後方を引き伸ばしながら、ゼリー状の髄核が後ろに移動し後側の線維輪を後ろに押し付け、後ろ側の線維輪に物理的ストレスをかけます、そして椎間板の劣化(変性)を起こし椎間板の線維輪の後ろ側が中の髄核に押され膨隆して行きます。

椎間板膨隆と椎間板ヘルニア

この椎間板の線維は腰の末梢神経の神経根の方向に膨隆(椎間板膨隆)していきます。そして更にこの刺激が大きく加わったり、持続すると椎間板の髄核が椎間板を裂いて神経根に飛び出て行きます(脱出ヘルニア)、更に進行すると髄核は椎間板から周囲にまで広がる(椎間板遊離ヘルニア)になる事になります。
 この上記の変化は以下のとうりです。

 1 椎間板膨隆(椎間板変性)
 2 脱出ヘルニア
 3 遊離ヘルニア

物理的な高エネルギーの外力が椎間板に加わらない限り、大半の椎間板の異常は上記1の椎間板の膨隆から始まり、より悪くなると2の脱出ヘルニアに移行し、より悪くなると3の遊離ヘルニアになるのが自然の経過でしょう。
オステオパシーの腰椎の関節機能障害は、この中の膨隆ヘルニアの初期に該当もしくは関係する状態と考えられます。また何れのレベルの椎間板の問題も瘢痕治癒した後に、関節機能障害を残す可能性があると考えています。

椎間板膨隆では椎間板の後ろにある。

※この図は、左の椎間板膨隆の図です。

脱出ヘルニアと遊離ヘルニアの自己治癒課程

脱出ヘルニアと遊離ヘルニアは椎間板線維輪の後ろ側が切れて、線維輪の外に髄核が出てしまった状態で、こうなると怪我の状態で安静にして繊維輪の破損した傷が塞がり瘢痕化するまで不快な症状が起こるでしょう。
自己免疫がヘルニアの破損した部位に働き、飛び出た髄核のヘルニアもマクロファージが貪食し約3ヶ月ほどかけ、ヘルニアを消失させます。

何れにしても腰椎の関節機能障害は椎間板の膨隆やヘルニアの発生機序に関わる可能性と、回復後に形成される可能性があります。

椎間板の膨隆に対する用語の様々

古いイギリスのオステオパスであり整形外科医のアラン・スタッタードが書いた「オステオパシーテクニックマニュアル」「オステオパシー臨床マニュアル」の書籍の翻訳では、椎間板の膨隆を椎間板ヘルニアとし記述しました、もちろん椎間板脱出ヘルニアや椎間板遊離ヘルニアと分けて書かれています。
また2000年以降の書籍の一部では、この椎間板の膨隆を椎間板変性とも言います、または椎間板膨隆ヘルニアと言う場合もあります。
最近では椎間板の膨隆を椎間板ヘルニアを分けて、脱出ヘルニアや遊離ヘルニアをヘルニアとし、椎間板の膨隆は椎間板膨隆もしくは椎間板変性と表現します。

腰痛や坐骨神経痛と椎間板の膨隆と椎間板ヘルニア

腰から臀部、もしくは下肢に放散する痛みである坐骨神経痛は多くの場合、腰椎の5番や4番の椎間板の変性やヘルニアが原因で、神経の反射や免疫学的変化や神経根への圧力が原因となり起こるとされています。

椎間板変性は坐骨神経痛の原因になり得ます(必ずしも坐骨神経痛の原因は椎間板の異常ではありませんが・・)。
アラン・スタッタードDOやロビン・マッケンジーPTは,椎間板の膨隆の段階や突出の段階でも坐骨神経痛を起こし得るとして、線維輪が裂けて髄が出てしまった椎間板ヘルニアの状態と、後ろ側の椎間板の線維輪膨隆の二つに分類しました。

多くの腰痛や坐骨神経痛は椎間板の膨隆(椎間板変化)で起こっています、この椎間板の膨隆に対して、オステオパシーやマッケンジー法は有益です。
椎間板脱出ヘルニアや椎間板遊離ヘルニアに対しては、急性期には効果は低く、急性期が過ぎた坐骨神経残痕痛や腰痛には対応可能です。
椎間板線維輪が完全に破綻していない髄核が椎間板の外に出ていない椎間板の膨隆は、椎骨の動きに伴う椎間板の水圧機構が機能出来るので、計画的なエクササイズや手技療法による緩和や改善が可能です。

マッケンジーは、この状態の腰痛や坐骨神経痛の問題に対する改善や緩和のための方法をマッケンジー法と読んだ。この腰椎のマッケンジー法は、腰痛や坐骨神経の原因が椎間板の変性では無い脱出や遊離ヘルニアの初期では椎間板の水圧機構が破綻しているため、効果が低いとされる。

中心化の評価

多くの椎間板の問題による坐骨神経は、腰を前にかがめた屈曲や腰を後ろにそらした屈曲の両方で痛みを出します。
そしてこの痛みの動作の屈曲を数回繰り返し、次に伸展を数回繰り返すと両側で痛みは有りますが、痛みの範囲が小さくなり背骨の方に小さくなる反応は椎間板膨隆が原因の可能性が高く、正しいマッケンジーエクササイズやオステオパシーの様な手技療法で改善が可能な可能性が高いです。
逆に屈曲と伸展の動作でも、痛みを感じる範囲が変わらない場合は椎間板脱出ヘルニアや椎間板遊離ヘルニアの可能性が高く、安静がしばらく必要で出てしまったヘルニアの免疫の貪食による自然回復がしばらく必要です。この時期にはマッケンジーエクササイズやオステオパシーの様な手技の有効性は低いです。

当院のホリスティックなオステオパシーアプローチ

椎間板の変調を来す問題以外でも、腰痛や坐骨神経痛を起こす可能性があるので(内臓や脳やその他)、その場合は別なオステオパシーアプローチを行います。

それでも腰痛や坐骨神経痛の原因は上記に紹介した、腰椎の関節機能障害やそれに伴う、または独立した椎間板変性や椎間板ヘルニアの可能性がありますので、この腰の関節構造に起こった問題は検査によりタイプを振り分け安全な施術を提供します。
この様な腰痛や坐骨神経痛に対して当院では、オステオパシー総合診断に必要に応じてマッケンジー法の検査法を加味して、施術と指導の方針を立てて施術を行います。

施術や指導の方向性を決めるオステオパシー総合診診断の検査の結果なのです。

             文章作成・東京オステオパシーキャビネ 柴岡宏二 

学びたい方に
来年の2024年に柔道整復師や理学療法士や指圧あん摩マッサージ指圧師などの医療類似資格者を対象に、日本オステオパシーメディスン協会の国内セミナーの「オステオパシーの魅力」に置いてこの、椎間板変性に対するアプローチを教える予定です。

参考文献
 オステオパシーテクニック・マニュアル
 オステオパシー臨床マニュアル
 マッケンジーエクササイズ 腰椎
 マッケンジーテクニック
 マニュアル・メディスンの原理
 個人のセミナーノート フランク・ウィラード 

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